常磐木学園ミュージカル部 第38回公演「AーEN」エイエン感想

常磐木学園ミュージカル部 第38回公演「AーEN」エイエンを観て来ました。
13時半開演。15時頃に閉幕の約1時間半の上演でした。

ストーリーを説明します。
舞台はニューヨークのある高校。一カ月後にプロムを控えています。
イケメンで成績優秀、スポーツ万能のアーサーは、美少女でプライドの高いリリィと交際していて、プロムキングとプロムクイーンに選ばれること、間違いなしと思われています。
ところが、「自分をお姫様扱いして欲しい」リリィは、イケメンのアーサーと付き合ったものの、自分を特別扱いしないアーサーをフッて、自分をお姫様扱いする、イケメンのルーベルトとプロムに出ると宣言。更に、アーサーは、文学の授業をサボって、ドーナッツ屋でバイトしていたことが、文学の先生にバレて、「変身」をテーマに、レポートを一カ月後に提出するように言われます。提出しなければ卒業は取り消し。ブロードウェイが好きで、将来は舞台に関わる仕事をするのが夢で、進学先も決まっているアーサーは困ります。

そこで映画好きなアーサーは、オードリー・ヘップバーンの「マイ・フェア・レディ」のヒギンス教授が花売り娘のイライザを変えたように、うだつのあがらない残念女子ヴァイオラを美少女に「変身」させて、自分のパートナーとしてプロムに出ることで、その経緯をレポートに出せば、卒業もできるし、プロムキングにもなれると思いつきます。
ヴァイオラがいじめられているところを助けた拍子に、実は空手の達人であるヴァイオラに怪我をさせられたアーサーは、自分を怪我させたお詫びに自分の「レッスン」を受けるように言い、ヴァイオラはそれに従うのでした。
学食のお姉さん、ハンナが、実はブロードウェイのメイクアップアーティストの副業をしていると知り、アーサーはヴァイオラを美少女に変えます。
また、アーサーの親友のマイルズに想いを寄せている、ゲイのアダムがヴァイオラにダンスを教えます。
自分に優しくしてくれるアーサーにヴァイオラは想いを寄せるようになります。
うまくいくかに見えたアーサーの計画ですが、プロムクイーンの座を狙うリリィが、ヴァイオラに「アーサーがヴァイオラに優しくしているのはレポートのため」と教えてしまいます。
ショックを受けたヴァイオラはアーサーの前から姿を消します。
ヴァイオラを失い、マイルズに指摘されて、アーサーは自分がいつの間にか、ヴァイオラに惹かれていることに気づくのでした。
悲しんでいるヴァイオラにハンナが、自分は過去に恋人にフラれてプロムに出なかったことを後悔していること、ヴァイオラにプロムに出るように勧めて、ドレスを贈るのでした。
そして、プロムが始まり、リリィとルーベルトは不正投票を行っていたことがバレて、失格とされます。
アーサーがプロムキングに選ばれます。ですが、プロムクイーンに選ばれたヴァイオラはプロムの場にいません。
その時、「私はここにいます!」とハンナに贈られたドレスをまとったヴァイオラが現われ、見事、アーサーとヴァイオラはプロムキングとクイーンになるのでした。
受賞の挨拶を求められたアーサーは「他人を変身させるには、自分が変身することがまず必要」「レッスンしているつもりでレッスンされていたのは自分だった」と話し、ヴァイオラにレポートに利用したことを謝罪し、愛の告白をします。そして、ヴァイオラも「自分を変えてくれたアーサーに感謝している」と答え、彼の愛に応えます。

そして、文学の先生も、アーサーのレポートを褒め、卒業資格を与えるのでした。
リリィは「失敗は成功への足がかり。今回の失敗は自分たちにとって必要なことだった」とルーベルトに諭され、誇りを取り戻します。
マイルズはアダムに「僕にとってのプロムキングはあなた」と告白され、「考えておく…けど、決して嫌ではない」と恋の始まりを予感させるような言葉を返します。
また、男性嫌いだった保健医のミランダ先生は、社会科のジョー先生の熱烈なアタックを受け入れることにします。
そして、全員がダンスを踊って、アーサーとヴァイオラはキスを交わし、めでたく幕を閉じるのでした。

歌もダンスも演技も素晴らしかったです。やや暗幕が長かった気がします。スポットライトの当て方、音楽の流し方、キレイな衣装、裏方さんたちもとても素晴らしかったです。
最初、「マイ・フェア・レディ」ネタだと分かって、令和に「マイ・フェア・レディ」? 男の子がブサイクな女の子を美女に変えて、成功をおさめる。しかも眼鏡を外したら実は美人とか、80年代、90年代の少女漫画かよ…とガッカリしてしまいました。
ところが、やっぱり令和の女の子たちが作る物語。男の思い通りにいかず、男女ともに「気づき」を与えるところが素晴らしいと思いました。

主役のアーサー役は、ほぼ出ずっぱりなのに、最後の歌まで、きっちり歌い、踊りきるパワーに、ビックリしました! 一時間半もほぼ出ずっぱりで演じ続けるミュージカル俳優さんは、初めてです。すごいです!
ヴァイオラは猫背でザンバラパーマ頭のメガネっ娘から、キレイな女の子に変身して、とても可愛らしかったです。
一緒に観た娘はハンナお姉さんが気に入ったようでした。

あと、娘は閉幕後に出入り口で挨拶している俳優さんたちの中から、ヴァイオラ役の女の子の顔を見に行ったそうです。「可愛かった!」と言っていました。

プロの先生方のご指導があったようですが、高校生が作った劇とは思えないほど、出来が良かったです。無料なのがビックリです。送迎してくれた夫に感謝です。