春の日のクマは好きですか?

レンタルビデオの新作で借りてきた韓流映画「春の日のクマは好きですか?」を見ました。内容は、韓国版「アメリ」という感じでした。「アメリ」の雰囲気が好きな人にはお勧めです。
以下、ネタばれです。



恋に恋する女の子ヒョンチェが見つけた、図書館の美術書に書きこまれたラブレター。愛の言葉は次の、また次の美術書へと続いていく。それを自分宛てのメッセージだと直感したヒョンチェは、ラブレターの書き手探しに奔走する。
一方、ヒョンチェの幼馴染で、彼女に恋するドンヒは、一生懸命、自己アピールするにも関わらず、全くヒョンチェに相手にされないばかりか、職場の友達まで交際相手として紹介されてしまう始末。
美術書に愛のメッセージを書いているのは誰か!? ヒョンチェは誰と結ばれるのか!? ドンヒの苦労は報われないまま終わるのか!?
ちょっと風変わりな女の子と、へたれな男の子の不器用なラブストーリー。

…というわけで、恋に恋する女の子ヒョンチェを自分に重ねながら見ていました。恋愛に不器用で、振られてばかりなところも私に似ていて、身につまされましたし(笑)、本に書きこまれた謎めいたメッセージが本当に気になって、ドキドキしました。
『誰か分からないけれど、自分をどこかで恋する瞳で見つめていて、愛のメッセージを次々に届けてくれる人がいる』って、すごく心ときめく設定ですよね。一歩、間違うと、ストーカーだけど(爆)
一方、ヒョンチェ一筋、愛のためなら何でも来い! にも関わらず、どこまでも相手にされず、完璧にパシリ扱いのへたれなドンヒくんには思わず「健気やなあ〜」とため息が漏れました。
途中、ドンヒが自分のことを指して、「エリートなんかより、お前のことをいつも見守っていて、いつも味方でいて、ずっと愛してくれる男を選べよ」というようなセリフがあって、ズキッとしました。
息子が生まれてからというものの、私の愛しい人リストの上位からどんどん下落している旦那ですが、……全然、格好良くはないけど、いつも傍にいて、私のことを一応、大事にしてくれている旦那を、私ももう少し大事にしたほうがいいんでしょうかね……。
とまあ、ちょっと考えさせられたり、結構面白かったです。
途中から、薄々、メッセージの書き手は分かってましたが。あんな乙女チックな方法で愛の言葉を伝えそうな登場人物って、他に登場しなかったもん(笑)でも、メッセージの受け取り手が誰かまでは最後まで気づきませんでした。あんなに一生懸命になって、愛の言葉を信じていたのに、受け取り手がヒョンチェじゃなくて、ちょっぴり残念。

ただ、韓国との文化の違いのせいか、理解ができないシーンがいくつか。
まずタイトルにもなっている、最初の愛のメッセージが「春の日のクマのようにきみが愛おしくてたまらない」。
どでかい茶色い熊が女の子に囲まれて踊っている絵の下に、「冬眠から目覚めた春の日のクマのように、君が愛おしくてたまらない」って書いてあるんですけど、女性を「冬眠から目覚めたクマ」に例えるのが愛のメッセージだというのが、良く分かりません(汗)私だったら「冬眠から目覚めた春の日のクマのようにきみが愛おしくてたまらない」って言われたら、「はあ!?」って言うと思います。それとも私の感性が鈍いのかなあ。う〜む。
「ぬいぐるみのテディベアみたいに可愛い」というなら、まだ分からないでもないんだけど…。
朝鮮半島には、熊が人間の女性に変身して、人間の祖先になったという伝説が確かあったから、韓国の人にとってクマは特別な動物なのかな? 可愛い女性をクマに例える習慣があるのかな? と想像してみるのですが…やっぱり良く分からない。

あと、おそらくヒョンチェとドンヒの最大のラブラブシーンと思われる、二人でお鍋のフタに乗せたラーメンを分けっこして食べるシーン。同じ麺を両側からお箸で引っ張ってます(汗)
思わず「行儀悪いやん!」と思ってしまって、せっかくのラブラブムードに浸れませんでした(汗)
そう言えば、大学院時代、韓国人留学生のHさんと一緒にランチを食べたことがあって、Hさんは焼肉定食を食べていました。それで、最後の一枚の焼肉をお箸で差し出されながら、「これ、半分、風さんにあげるから、反対側からお箸で引っ張ってちぎって取ってね」と言われて、「日本人にとってはそれは行儀が悪いことだから、半分に分けて渡してくれる?」と頼んだら、Hさんが「韓国では食べ物を両側から箸で持って引っ張るなんて、当たり前にしていたよ〜」とびっくりしていたことがありました。事情を説明したら、納得してくれたみたいでしたが、韓国では日本語教師をされていたという、日本語ペラペラのHさんがすごく驚いておられたので、Hさんでも知らないことがあるんだ!? と、その時はそのほうがびっくりでした。

だから、多分、韓国の人が見たら、すごくラブラブなシーンなんでしょうが、今ひとつ受け入れられず…。なんか、本来はすごくロマンティックなんだろうなあと思うと、浸り切れない自分が残念でした。
ちなみにもし、日本人が演じるならヒョンチェちゃんは遠藤久美子さん、ドンヒくんは草なぎ剛くんなんか似合うんじゃないかな〜と思いながら見てました。

「ターンライト・ターンレフト」など、アジア系映画はピュアなロマンティックさがあっていいですね。